執筆: くらしのミカタ編集部/最終更新: 2026年9月7日
墓じまいは、墓石を撤去して墓地を管理者に返し、遺骨を別の場所へ移す一連の手続きです。遺骨を移す「改葬」には、墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第5条により市町村長の許可が必要で、工事より先に書類の順番があります。この記事では、手続きの順番、必要になる書類、かかる期間、費用の内訳の考え方を、一般的な流れとしてまとめました。
墓じまいの6つの段階
順番を飛ばすと戻ることになります。特に書類は、先に取るべきものが決まっています。
- 親族と話し合い、墓じまいの合意を得る
名義人が手続きを行いますが、後のトラブルを避けるため先に話し合っておくのが一般的です。 - 今の墓地の管理者(寺院・霊園)に相談する
管理者に伝えないまま進めると、後の書類で止まります。 - 新しい納骨先を決めて、受入証明書をもらう
永代供養墓、納骨堂、樹木葬、別のお墓など。受け入れ先が発行します。 - 今の墓地の管理者から埋蔵(埋葬)証明書をもらう
遺骨がその墓地に埋蔵されていることの証明です。 - 墓地のある自治体に申請し、改葬許可証を受け取る
上の2つの書類を添えて申請します。お住まいの自治体ではなく、墓地のある自治体です。 - 閉眼供養をして、墓石の解体・撤去工事を行う
僧侶の予定と石材店の工事日程を合わせます。工事後、区画を整地して管理者に返します。
石材店への相談や見積もりは、3から5と並行して進められます。工事の日程は改葬許可証が出てから決まるため、早めに見積もりを取っておくと全体が早く進みます。
必要になる3つの書類
| 書類 | どこでもらうか |
|---|---|
| 受入証明書 | 新しい納骨先(霊園・寺院・永代供養墓など) |
| 埋蔵(埋葬)証明書 | 今の墓地の管理者 |
| 改葬許可証 | 墓地のある自治体(上の2つを添えて申請) |
改葬許可証は遺骨を移すために必要な許可です。これが出るまで工事はできません。申請書の様式や添付書類は自治体ごとに少し異なるので、窓口かウェブサイトで事前に確認しておくと手戻りがありません。
書類の名前が似ているため、受入証明書と埋蔵証明書を取り違えて申請に行く方がいます。「新しい納骨先がくれるのが受入証明書」「今の墓地がくれるのが埋蔵証明書」と覚えておくと整理しやすくなります。
どのくらい時間がかかるか
全体では2か月から3か月が目安とされますが、止まりやすいのは書類ではありません。
親族の合意に時間がかかります
墓じまいに反対する親族がいる場合、ここで数か月止まることがあります。工事費の見積もりや納骨先の費用など具体的な金額があると、話が進みやすくなります。
書類の手続きは1〜2週間程度です
自治体の窓口での手続き自体は、書類が揃っていれば長くはかかりません。
工事は日程調整で決まります
閉眼供養の日程を僧侶と合わせる必要があるため、石材店とお寺の両方の予定を見ることになります。繁忙期(お盆・お彼岸の前後)は日程が取りにくくなります。
費用は4つに分けて考えます
- 工事費(石材店):墓石の解体・運搬・処分、区画の整地、遺骨の取り出し。墓石の大きさ、区画の広さ、重機が入れるかどうかで変わります。
- お寺に渡すお布施:閉眼供養のお布施と、檀家をやめる場合の離檀料。離檀料には明確な基準がありません(国民生活センター)。
- 新しい納骨先の費用:永代供養墓、納骨堂、樹木葬、散骨など、選ぶ供養先によって幅があります。
- 行政手続きの費用:改葬許可申請の手数料は自治体により無料または少額です。
総額が読めない最大の理由は、工事費と納骨先費用の幅が大きいことです。工事費は複数の石材店から見積もりを取ると、提示された額が妥当かを判断しやすくなります。
石材店への頼み方
指定石材店が決まっていないかを確認する
寺院墓地や一部の霊園では、工事を依頼できる石材店が指定されていることがあります。先に管理者に確認します。
見積書に含まれる項目を揃えて比べる
解体、運搬、処分、整地、重機の使用、遺骨の取り出し、閉眼供養への立ち会いなど、含まれる項目が石材店ごとに違うと金額だけでは比べられません。項目を揃えて比較します。
遠方で立ち会えない場合
お寺との連絡や石材店の手配をまとめて引き受ける代行サービスもあります。ただし、お寺との「交渉」は弁護士、書類の「作成代行」は行政書士の業務領域で、一般の代行サービスが行えるのは連絡やサポートまでです。依頼前に、どこまでを任せられるのかを確認しておくと安心です。
よくある疑問
改葬許可の申請はどこで行いますか
墓地のある自治体の窓口です。お住まいの自治体ではない点に注意してください。
見積もりは書類が揃う前に取れますか
取れます。書類の準備と並行して進められ、工事の日程は改葬許可証が出てから決まります。
名義人以外が手続きできますか
手続き自体は名義人(使用権者)が行います。親族が代わって動く場合は、先に話し合っておくことが勧められます。
まとめ
- 遺骨を移すには自治体の改葬許可が必要(墓地、埋葬等に関する法律 第5条)
- 順番は「合意 → 管理者へ相談 → 納骨先と受入証明書 → 埋蔵証明書 → 改葬許可証 → 閉眼供養と工事」
- 止まりやすいのは書類より親族の合意。具体的な金額が話を進める
- 費用は工事費・お布施・納骨先・行政手続きの4つに分けて考える
- 石材店は指定の有無を確認し、見積書の項目を揃えて比べる
参照: 墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第5条・第8条/国民生活センター 公表資料(離檀料に関する相談)。記事の内容は2026年9月時点の一般的な手続きをまとめたもので、自治体や墓地管理者によって必要書類や手順が異なる場合があります。